ARAX

2007年11月27日

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以前にも書きましたが、EXAKTA66所持してる方は分かると思いますが、EXAKTAには前身のペンタコンシックスと同様、致命的と言ってもいい欠陥がいくつかあります。
それは、

1.設計上どうしても巻き上げにムラが出る(コマが重なる)。
2.ミラーアップ機能が存在しない(Mod3には一応あるが実用上無効)。
3.にも関わらず異常に値段が張る。

ということ。
2、3は百歩譲って我慢するとしても、1はかなりキツい(泣)。
この問題はドイツのバイヤーフォト(HPはこちら)にリストアをお願いすれば(もう一個EXAKTAが買えるくらいの値段になるが)解決する。
でも「それってアホっぽくない?」と思う方にお勧めなのがこのARAX(HPはこちら)のカメラ。
このカメラはウクライナのアーセナル製造の「KIEV60」の改造版。
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かつて東西時代ハッセルのイミテーションを製造していたキエフのアーセナルは、同様に東ドイツのペンタコンシックスもコピーしていました。それがKIEV60。
冷戦後、東のペンタコンシックスは旧西独のシュナイダー社が外装デザインだけを変えて生産を引き継ぎます。これがEXAKTA66(エクサクタ66)。
そういう経緯があり、このPentaconSix、KIEV60、EXAKTA66の三者はマウントが同じ(ペンタコンシックスマウント、P6マウントと呼ばれる)になっています。

さらにキエフでは近年アーセナルが全てのカメラ製造を終了。現在は残った在庫を各業者が改造販売しています。
その業者の一つである「ARAX」は当初問題の多かったキエフカメラを正常に稼働するように補正、改造、さらには元来なかった機能までも盛り込んで販売しています。

ロシアンカメラと言えば「安い、ショボイ」ですが、このカメラは少し違います。
あまりに安いんで買って試してみようと実際に購入したところ、使用結果は良好でした。
上に書いた1から3の問題は全て解消されています。
もちろん元が「KIEV60」なんで安っぽさは拭えず、しかも「ARAX」の名前自体とロゴが超ダサイですが、信頼性では完全にEXAKTAを超えます。
無論、KIEV60の頃の不具合も全て改良済みです。
あと何と言ってもコストパフォーマンスはハンパではないでしょう。
ファインダーもペンタコンシックスよりも視野率があり、明るく、安価なキエフのTTLファインダーが付けられるのはうれしいところです。(EXAKTAのTTLファインダーは死ぬほど高い)
あえて欠点を挙げるとすれば、

1.大きさがEXAKTAよりも気持ち大きい。
2.重量もEXAKTAよりも重い。
3.見た目がダサく、安っぽい。

このカメラは安っぽさにごまかされやすいですが、私見ではそれとは裏腹に欠点のない、よくできたカメラだと思います。
アーセナルがなんで元々このクオリティーで作らなかったのかが不思議です。
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